ちょっとだけエスパー
2025/12/16(Tue)23:17

“ちょっとだけ“SFでも、“ちょっとだけ“ヒーローものでも、やはり野木さんが書くものはここへ至るんだなあ…と思えた最終回。メロンパンをかじって生きてこの世界にしがみついてください、と力強く書いていた人の脚本だ、としみじみ。

四季が死なない未来を無理やり選択すると、どうしても1000万人死ぬ事態になってしまう、というのは、それこそ『MIU404』最終回で、404の2人が死ぬ“最悪“の分岐点の先では、コロナ禍が起きず2020年に五輪も開催されたバタフライエフェクトが起きている(らしい)という、あれを今度は自発的に選択するかどうか、という話にも近く。

『MIU404』では、この世界の理不尽と、それでも罪の奥底にある人間性への静かな祈りでもあった「分岐点」というキーワードが、このSF設定だと、登場人物たち自らその「分岐点」を積極的に作り物語が動いていくので、そこに働く人間の意志がよりストレートに押し出されるのが面白かったですね。

全9回ゆえか相当駆け足だったので、そこのSF設定もうちょっと説明ください!いやちょっとどころじゃなく!なところは正直ありましたけど、その分、今まで野木作品で何度も繰り返されてきた「要らない人間などいない」をさらに超え、「世界は誰のことをもジャッジしない」のメッセージ性は余計に際立っていたかもしれない。

そういえば、あそそこまで「愛してる」をストレートに叫ぶ野木脚本、なかなか珍しかったのでは。


ところで、あの白服の男の正体は、もっと遠い未来の兆ではないか…とは当初から予想していたんですが、その根拠は、初登場時に見せたエスパーが、人をワープさせる直接的なものとは別に、
雪→花びらを降らすという「四季」を連想させるものも付随してたからなんですよね。

Bit5が変えた2025年クリスマスから分岐した先でも、やはり四季と文人は出会って恋をする。とはいえ、この四季と文人がたどる未来は、2050年の兆社長が闇堕ちするほど大事に抱えていたあの「四季」との記憶では当然ない、全く別物の更新された未来になっていくわけで。
それでも、既に2025年の改変を知ってるのだろう白服の男=2070年の兆が、そうなるのも承知で2050年の自分の凶行を止め、四季のための新しい分岐点を作るために来たとするなら、それは「この半年が一生分だった」と言いきった文太の愛と同等なんじゃなかろうか。

そう考えると、おそらく2050年以降に自らEカプセルを飲んだ兆に発現するエスパーがあれなのは、やはり「重い男」の面目躍如だと思うのです。漬物石どころじゃない重さ。

そして、2070年の白服兆が元気にエスパーできているあたり、市松の副作用止め薬がおそらく完成しているのが分かるのは、ちょっと素敵。(いやもしかして、その分、副作用が外面の老化になったのかもしれないが)

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