ブギウギ第18週
2024/02/02(Fri)23:05

今週のブギウギ。生と死が交錯した第18週。
青天の平九郎に引き続き、水上さんの死に際演技は、燃え尽きようとする命の揺らぎの中に生への執念と愛着をあぶり出してきて、凄まじい。

この作品の序盤からずっと感じていることなのですが。スズ子の生い立ちも、恋人との別れと出産の経緯も、事実だけを点で追えばおおむねモデルの史実に沿っているとはいえ、時間軸の僅かなずらし方、周囲の脇役が掛ける言葉ひとつの微調整、そこに至る人物設定や配置など、史実の脚色という作業をどう行なうかのちょっとしたさじ加減に、「全ての子供は例外なくこの世に産まれたことを祝福されて然るべきであり、愛に包まれて育つべきである」という造り手の一貫した強固な意思を感じるのです。
当時の価値観としてシングルマザーで子供を産むとはどんな意味が(そして逆風が)あったか容易に想像できますが、ドラマとしては一週を見終わったとき、ちゃんと結婚生活のため預金していた愛助はもちろん、ボンへの愛情からスズ子も支えると誓う坂口山下、事務連絡のみに徹した言葉へ却ってボンが愛した人への優しさがにじみ出る矢崎、そして結婚に反対してたトミさんでさえ、大人たちが皆、今週産まれてくるひとりの子供の尊厳だけは侵さず守っていた後味に落ち着いているのは、何というか脚色の絶妙な塩梅だし、令和の描き方だなあと。

スズ子が育ったはな湯のお喋りスペースにかかっていた藤の花と、トミさんがいつも座っている村山社長席の後ろの壁に見える造花?とが同じ花に見えるのが、いつも気になっていたのですが、ツヤさんがスズ子含め誰をも広く愛したはな湯と、トミさんが社員も芸人も家族だと言い切った村山興業とは、相似形だったということなんでしょうね。そのはな湯で皆に歌を褒められ育ったスズ子も、村山興業で皆の愛されボンだった愛助も、似た者同士の子供だったし、そんな二人の間に産まれた愛子は、二人が受けた愛をこれからたっぷり受け取り育つ子となるんだろうな。
いつもどおり字幕を見ていた今日の回、スズ子が絶望に浸ってた夜中は、隣から聞こえる声が「(赤ちゃんの泣き声)」だったのが、スズ子が愛助の手紙を読み終えた途端、「(愛子の泣き声)」になったのは、字幕ならではの表現としてちょっと感動しました。名付けの力。消えずこの世に固定される亡き人の想い。此方へ引き止める名前の意味。

ここまで「楽しいお方も 悲しいお方も」の意味が何度も形を変えてきた『ラッパと娘』が、愛しい人とのあったはずの無かった未来を彩り、そして送り出す優しい鎮魂歌として一旦昇華され、そして次週、いよいよ第1回のあの東京ブギウギが登場かあ…とズキズキワクワクしてきます。りつこ様にもまたウチワ振るわ。

それにしても山下さん、ここのところ優秀マネジャーだったから忘れかけてましたけど、そういえば初登場時のこの人、久々に会ったボンへのじじ馬鹿っぷりがダダ漏れのおじいちゃんでしたねえ…。
私、『笑の大学』初演版で近藤さんが演じた椿の“演劇の妖精”っぷりが大好きなので、いまブギウギで可愛い近藤さんを存分に味わえることに大変満足してます。後半ももっとください。

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