2025/09/13(Sat)18:52

[第2話]来見沢善彦の愚行


割烹着でウキウキと畑くんの晩御飯を用意してあげてる来見沢先生、もう根がいい人なのが現れ過ぎてて胸が苦しいので、どうか幸せになってください……としか言えなくなる。破滅エンドしか見えない話なのに。

それはともかく、今回も細かいネタが多くてとても楽しいですね。
天才的頭脳で人を助けるアウトローが主人公の作中作『BALAL』は、柔らかなフォルムも含めてすばらしく『B・J』ですし、単行本のページとコマまで細かく覚えている畑くんの記憶力、9本も出してくる脅威のネタ出しは、そのまんま手塚先生の逸話だ。
先生がファン兼後輩作家にステーキを食べさせるのは、『まんが道』も思い出すなあ。

そして、P38最後のコマ。
「誰よりも早く畑に」出ていた母親を物陰から見つめる畑少年の図。ここの絵がもう明らかに、矢口高雄先生が手塚マンガに熱狂した少年時代を綴る名作自伝マンガ『ボクの手塚治虫』中の一遍、「こんただ百姓になんか 絶対にならんぞっ!!」のオマージュじゃないですか……。泣くわ。
手塚マンガそのものだけでなく、関連作品まで相当読み込んで描かれてることがうかがえて、痺れる。

(……『ボクの手塚治虫』がもしも単なるオマージュ以上の意味で引用されているとしたら、小学校へもロクに行けなかったという育ちの畑少年が、なぜあんなにも大量のノートを、しかも捨てられることなく個人所有できたのか…という点に、何か謎が仕掛けられてるんだろうか)


来見沢の”電話”シーンは、恐らく良心の葛藤を表したシーンなのでしょうが、そこに電話だけでなく大きな鏡台もあるのが、ちょっと気になる。
第1話で来見沢が編集部に持ち込んで「古い」と切り捨てられる、どうやらSFらしいマンガのタイトルが「ピグマリオンの鏡」と描かれてるんですよねえ…。もしかしてこの却下された作品自体も、来見沢の中で何かを侵食しているのだとしたら、とても怖い。まんじゅうこわい。

 

< 前の記事 ▼一覧 後の記事 >
Copyright(C) 2008 - 2026 baserCMS Users Community All rights Reserved. baserCMS : Based Website Development Project  CakePHP(tm) : Rapid Development Framework