LAST MILE -Premium Talk-〈Episode.2 MIU404編〉
イベントの延長らしい雰囲気でわちゃわちゃ愉快トークだった前回のラスマイ組4人編とはまた打って変わり、今回は、言語化能力の鬼……!と呻きたくなる3人のじっくりやり取りだった。は~~~ありがたい。
綾野さんが冒頭から語る伊吹像「志摩がいたからこそ輝いた」「(志摩は)伊吹のとっちらかった生き方を鮮やかに流してくれる」。
クランクアップ以降、何度も伊吹という役への愛着、「また会いてーな」の思いを語ってきてくれた綾野さんにとって今回の映画は、念願の伊吹との再会だったのはもちろん、伊吹をまた志摩に会わせてやれる喜びもあったのかな…と優しさを感じます。超ビッグ・ラブじゃん。
ドラマから映画まで4年バディとして過ごす間に、伊吹のあしらいが雑になっているという志摩の「年輪」を脚本から抽出し、意識して演じた源さんのお話も、事前番宣より具体的で面白かった。
その志摩の経年変化が「心地よかった」「自分(伊吹)は、まんまで良いんだ」と適応し演技した綾野さんの理解に対し、すかさず「伊吹は、まんまが良いんだよ」と返す源さんの柔らかな肯定に、ふと、おそらく作中の志摩も、4年前のあの身勝手な「俺はあいつに正しいままでいてほしい」とはもっと違う形で今は、隣にいる相棒の”正しさ”を見つめてるのかしらと、その姿が見えるようでした。
先日の感想冒頭で書いたように、映画を見てまず連想したのが『MIU404』第9話で伊吹がビルの窓一つ一つに「人がいて暮らしてる」と語るシーンだったので、直接あの回に言及されたわけではないですけど、綾野さんが映画の感想を聞かれ、それは「生きている」こと、街の光一つ一つがある瞬間無意味に思えても、そこに人が住んで生きていることが飛び込んでくるように、と語ってらしたのも、個人的にとても嬉しかったです。
あのときハムちゃんに「俺の好きな道」を教えた伊吹が、今もまだ綾野さんの中に確かに息づいているのだ、と感じられて。
あと、源さんがこの映画を仕事と生き様の物語、どう仕事するかはどう生きるかと同義だと定義づけていたのも興味深く。
『アンナチュラル』『MIU404』で共通して描かれてきた、仕事とどう向き合うかと人生との天秤、その相克が、映画では、仕事の領域と市井の人々との接続点である「ラストマイル」に重ねて描かれ、佐野親子に象徴させることで、広い間口でダイレクトに届く表現になっている。
このテーマ性とエンタメ性の両立、上映規模の実現を「ワクワクしかない」と言う源さんに、歌手として自身の作品を社会にどう届けるか日々考えているのだろう制作者の視点も見えました。
常々、野木脚本の仕事描写の真摯さ、だからこそ生きる職責と人間としての倫理がぶつかる際の葛藤が大好きだったので、このあたり源さんの言葉で聞けたのも、とても嬉しい。
それにしても、事前番宣で源さんが伊吹への雑なあしらいをおかしげに語ってたときも感じましたけど、この4年がバディにもたらしている微妙な経年変化について、脚本と2人の間でちゃんと認識が共通しているのはやはり凄いことだなあ。
脚本で直接書かれていない、役者も演じていない、存在してないはずの4年間について、ちゃんと同じものを皆さん見ているという感慨。
『MIU404』『アンナチュラル』のシナリオブックを読んでみると、人物もストーリーも受ける印象がドラマ本編とほぼズレがないんですよね。もちろん役者さんの演技で加わっている厚み、情報を整理しつつ立体化する演出の巧さに改めて感服する部分も多々ありますけど、その演技演出に通っている骨組みはテキスト段階で既に完成している。
なので、前回今回の動画で満島さんが繰り返し語っていた脚本の「難しさ」も、エレナという複雑な人間を実際に演じる気力体力(綾野さん曰く「背負わされすぎている」のとおり)や、この内容を2時間に収められる編集技量ではあっても、しかしそこで、人物像や、作中の事象に対する倫理観について、大幅なズレ、読み違いすれ違いが生じ得る意味での理解不能的な「難しさ」ではなかったのでは、と『MIU404』『アンナチュラル』シナリオを読んで推察できるのです。
3人が語っていた、役者さんにドーンとお任せしちゃう塚原監督の豪胆演出は、そんな共通認識をハイコンテクストにやり取りできる座組だから可能なんだろうなあとも。
前回の動画では、エレナ役を演じた大変さが語られていましたけど、今回の動画では、その大変さの先に「新しい扉」を開けて、ひとつ吹っ切れたような清々しさも感じました。
制作発表からずっと楽しみにしてた野木脚本を演じる満島さん。エレナ役が満島さんで、本当によかった。
そして、今回の鼎談も満島さんという俳優だから引き出せたのだろうお話もたくさんあって、本当によかった。
職業を描く野木さんの脚本に塚原監督の演出が間合いや歪みを足すことの妙とか、実際に演じた人が言語化してこその面白さでしたよ…。
今、見終えた喜びの勢いで感想をばーーっと打ちましたけど、また改めて見て自分用にメモしておきたい。いい言葉だらけだった。そして、あちらも言語化センスの塊みたいな人が入っているアンナチュラル編がさらに楽しみ。

