嘘になるなら、なってくれ
2024/04/01(Mon)21:32

いくらエイプリルフールだからといって笑って受け流せない嘘も世の中にはある、という真実は、別の見方をすれば、そういう受け流せない「嘘」をわざわざ言う者をあぶり出す試金石がエイプリルフールである、とも言える。

何の話かというと、あのドラマのことです。君ゆきです。

ちょっともう、先週第3弾キャスト発表で荒れたときから、情報はうっすら薄目で見ることにしてましたが、それでも、ここ何年かドラマ二次のほうへ足突っ込んでる人間、かつ時代劇好きとして、僅かばかりの希望ぐらいは持っておきたい…と祈るような気持ちは細々と保っていました。ええ、いたんですよ。

でも、駄目だ。
今日のエイプリルフールネタは、原作ファンだけど辛うじて残していたなけなしの良心的願望すらも全て吹っ飛ばし燃やし尽くすには、もう十分の暴力だった。
 

何ですか、「あなたが考える #だいきゅう の関係性や物語を  #君ゆきエイプリルフール  をつけて教えてください!」……て。
 

あのさあ…………えっと、ほんとおまっ…………
いや、はい、まずは深呼吸。

まあ、ふだんマンガもドラマも元気に二次描いてるオタクが言うのもあれなんですけどね。
登場人物の関係性やパラレル含めた物語なんてものは、ドラマさえ面白ければこちらが勝手に盛り上がって自然発生的に書いたり語ったりするものであって。
公式のほうがわざわざこういう煽り方をしてくることに、まず戸惑いが強い。

もちろん、ドラマ版の大作と丘十郎に、この2人なりの「関係性」や「物語」を見出すファンも多くいることでしょう。
でもそれは、ドラマが始まってからの話ではないのか。初回もまだ放送されていない今、ドラマ版の彼らの「関係性」や「物語」を考えてね!と言われたところで、まず材料が少なすぎるんじゃないか。

で、そもそもですね。

手塚先生の原作で、2人の関係性も物語も、とっくに完結して完成して存在してんですよ半世紀以上前から!


はーーーーーーーーー。
 

ドラマがまだ始まっておらず、ドラマ版の大作と丘十郎がどんなキャラでどんな絡み方をするかもよく分からない現時点において、「関係性」や「物語」を妄想してね!な公式企画を楽しめる、材料を持っているとすれば、それは前共演作から続く中の人たち同士のメタ的関係まで含めて今回の共演を心待ちにしている役者ファンの皆さんでしょう。つまり、今回の企画が想定しているのはその層。

しかし、いくらドラマの2人がどんな描かれ方になろうと、後ろには手塚先生の原作という厳然たる事実がそびえ立っていなければいけないはずで。
にもかかわらず、今の時点で公式がわざわざ、ドラマをこれから見る層に2人の関係性を自由に妄想してね、パラレル考えてね!とのたまうのは、つまり原作の存在は無視してもいいよ宣言に等しい。

しかも、これは公式開設当初からですが、主役2人のカップリング名を匂わせるタグを使用していたあたり、公式側がどんな盛り上がり方を狙い期待しているのか、最初から視聴者側の楽しみ方を限定している。(そしてその楽しめる輪に、「原作どおり」を望む原作ファンは入っていないのが明らか)

原作未読の顔カプで描く同人作家さんですら、昨今はもうちょっと気を使って取り繕うのでは???
 

うすうす思っていましたが、やはり今回、手塚先生の『新選組』を原作と称しているのは、この原作をぜひ映像化したかったから、というより、若手有望俳優たちを集めた時代モノをつくりたい、それには新選組がいい、しかし綿密な時代考証や時代劇伝統文脈への配慮に回す予算も気力も時間もない…という都合からの【弾除け】なんだろうな、という気がしてならない。
オリジナル時代劇でやったらどんな批判を受けるか分からない、月代なし長髪もダンダラじゃない隊服も微妙な史実時間軸無視も、マンガ原作の看板、なおかつ半世紀前の作品を現代風アレンジしました★論を掲げれば、全て免罪符にできるという寸法か。そうか。ははは。お腹が起立する。

何度も繰り返し書いていますが、どれだけビジュアルを変えようが改変しようが、せめて造り手側の「手塚原作のここが好き」解釈ポイントが少しでも作品中に読めればいいんですよ。でも、制作発表からこっち、ほぼそれが見えていなかった君ゆき公式において、今日のネタはあまりにも「原作は読んでません・読まなくていいです・読む気もありません」姿勢が溢れ出ていて、ちょっと怒りも哀しみも通り越して虚無になった。いくらエイプリルフールネタとはいえ。

そういえば、エイプリルフールについた嘘は1年もしくは一生叶わない俗説がありませんでしたっけ。
このまま、君ゆきの原作が手塚マンガだったこと自体、嘘にならないかな。もうオリジナルでやってくれ。

 


 

ちょっと前から気になってるのこと。
君ゆきのPと、6月にあるB・J単発ドラマのPが、複数かぶっているんですよね。同じ局だからよくある話かもしれませんが。

少なくとも現時点で、B・Jドラマのほうは新規情報出るたび、手塚先生原作への言及は最低限ちゃんとあるので、この差は一体何なんだろうな…と思うのですが、それが、マンガ原作で既に実績のある俳優さん御本人や人物デザイン担当の方の姿勢によるものなのか、それとも単純に原作知名度の差なのか、これまたいろいろ考えてしまう。

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