豊臣兄弟!第3話
2026/01/18(Sun)21:51

今作は本当にどこまでも、まだ何者でもない、つまり後の秀吉でも秀長でもない、ただの若造な藤吉郎と小一郎兄弟という図を一貫して描いているんだなあ…と今週も改めて思う。
つまり1年間の序章、青雲編として、大変好みで楽しいです。

現時点の藤吉郎と小一郎にとっては、今川侵攻による危機よりも、父の仇(兼気に食わない上司)という極めて個人的なターゲットのほうが具体的かつ現実的な課題だし、そもそも国レベルの非常事態にどう対処するか、少しでも殿様を「おっ」と言わせられるだけの才覚なんてまだまだない。

信長が、案を申してみるよう促すのも、別にこの下っ端兄弟に何か光るものを見出したからではなく、むしろ逆に、草履盗み疑惑への苦しい言い訳を笑って流してやれるぐらいの立ち位置でしかないからこそ、気まぐれに問いかけてみた感がありますよね…。

とにかく丸く収めたい小一郎の思考パターンは、共同作業が必要な農村で育ち、しかも一度は兄者の不始末で追い出されかけてたところから、ようやく同世代の喧嘩の仲裁ぐらいはできる立場にまで回復できた苦心から来ているのでしょうが、そこには、身一つ以外のものをまだ何も背負ってない若造の気楽さもあって。

「手前の読みが甘かっただけのこと」では済まされないものを既に重く背負っている信長からすれば、敵の出方を推し量るだけの根拠や具体性に欠ける小一郎の和睦案は、やはり「軽すぎる」のでしょう。

確かに主人公だけど、決して特別ではない、小一郎と藤吉郎兄者の現在地。まだまだ第3話。


また、藤吉郎がこの立ち位置だからこそ生まれる信長との距離感もいいですね。

藤吉郎にとって信長は、他所よりちょっと夢が抱けそうな仕官先をつくってくれた殿様であり、信長にとって秀吉は、数多いる家来の中でちょっと目立つ面白いやつ、ぐらいの温度感で、そこに何か互いに特別通ずるものがあるわけではない。

それでも、自分を的にしてくださいと言い出す藤吉郎の戯けには、ただのおべっかではない真剣さがどこか垣間見えるし、それに乗って撃つ信長もまた、藤吉郎が倒れれば本気で心配する。

王と道化のようでいて、しかしそれだけでは終わらない何かも見える塩梅が、現時点における信長と藤吉郎の関係として、とても好きです。

そういえば、サルを本当に撃ってしまったかと慌てて駆け寄る信長。
信長にふっとばされた小一郎に思わず駆け寄った藤吉郎とも、ちょっと似てるんだなあと。その弟への本音が一瞬出るものの、殿様への手前また慌てて引っ込めて「このバカもんが!」と怒るのも、また藤吉郎兄者なんですが。

案外繊細で、それゆえに孤独でもあるのだろう信長は、結構寂しがり屋な藤吉郎と、割と似たもの同士なのかもしれない。


それにしても、義元の首と天秤にかけても勿体ないと言うぐらい、つまり大事に思っている妹お市を、やがてこの信長兄上が浅井へ嫁がせるとき、そこには一体どれほどの思い入れが発生するのか、ちょっとそわそわしますね…。
 

< 前の記事 ▼一覧 後の記事 >
Copyright(C) 2008 - 2026 baserCMS Users Community All rights Reserved. baserCMS : Based Website Development Project  CakePHP(tm) : Rapid Development Framework