Eテレで、1995年番組『手塚治虫の遺産 アトムとAKIRA』の再放送。
90年代の関連番組はほとんど当時見たっきりで、もし録画があってもビデオ媒体のみで再生もできなかったので、再放送は非常にありがたい。
特にこの番組は、この中で行われた大友りんたろう対談をきっかけに映画『メトロポリス』の企画が動き出したという記念すべき番組なので、もう一度見られてよかったなあ。大友先生が初期作品の名前を口にするたび、2001年夏の熱狂を思い出し、ドキドキしてしまう。
それにしても、この1995年当時まだ生きていらした(番組翌年に逝去)藤子F先生が、皆して一発必中のマンガしか描かないようになったらマンガという文化は終わりだと真剣に警告されていたり、大友先生が子供たちがマンガよりゲームへ時間を奪われている現状を憂いていたり、30年後の今こう改めて見ると、なかなか考えさせられるものがありました。
個人的には、ラストで大友先生が新座スタジオの手塚先生アトリエで感慨深げに見つめのが、角川文庫版の初期傑作集だったのにも、ぐっと来ますね。
この頃までに、手塚初期マンガといえば小学館叢書からも選集が出ていましたが、こちらの角川版は、文庫本サイズながらも単行本初出時の2色刷りまで忠実に再現してくれているのが実に魅力的だったんですよ。この角川文庫版で、当時まだ子供だった私は初期手塚マンガの絵とストーリーに完全に取り憑かれてしまったわけで。
ああそうだ、ちょうどこの1995年頃に刊行されてたんだよなあ…と、必死で小遣い貯めては買い集めていた当時を懐かしく思い返すとともに、そんな多色刷りで復刻本にも等しい内容の文庫本が、子供のお小遣いで何とか買える時代だったことにも思いが飛び、懐かしい以上の感情がドドッと。紙の本の上を通り過ぎていった30年の歳月が、重たい。
しかし、先週この枠で再放送された『父の背中』といい、テレ玉でいきなり始まった『鉄腕アトム』白黒版の再放送といい、ここ最近の手塚関連再放送ラッシュ、喜ばし過ぎてちょっと不思議なぐらいですね。
やはり3年後の2028年、生誕百周年を盛大に祝うのに向けて、公式も徐々にアップしているんでしょうか。だったらいいなあと期待を持っておく。

