2025/08/16(Sat)23:17

『’24年鑑代表シナリオ集』やっと入手しまして、『ラストマイル』脚本を読めました。

前に『海に眠るダイヤモンド』脚本を読んだときも同じ感想を抱きましたが、野木さんの脚本は本当に隅から隅まで隙がない、仕事できる人が制作したマニュアルのようだと今回も感嘆しきり。
映像として見た映画と文字として読む脚本とで、各人物像やストーリーの印象にほとんどズレが生じないというのは、制作陣の中に確固とした共通認識を持たせられるだけの強度を、脚本が備えている証左なわけで。ストーリーや人物描写の面白さはもちろんとして、この理路整然とした筆致が、野木脚本作品の情報量を下支えしているのだと改めて思う。

組んで2年半ならではの距離感で「あしらいが雑」になってきている、と中の人たちが番宣などで楽しそうに言っていた404バディ。
いざ映画を見たら実際そのとおりで大笑いした2人のあの空気感が、脚本の文字で読んでも本当にそのまんまだったもので、何だか嬉しいを通り越して感激しちゃいました。404の2人が、野木さんの中でちゃんと歳月を重ねながら存在してきた証を、文字として確認できた幸甚ですよ……。

何より、脚本最後の一文。
「日本中に閉じられたままの扉がある」と物語を閉じるト書き一行の切れ味には、ちょっと言葉にならない思いで打ちのめされますね。ここまで読んで『ラストマイル』という作品の鑑賞が完結したかもしれない。

と同時に、この一行から受ける印象が、映画を見終わったときの後味と全く同じであることにも、ハッと気付かされるのです。
こんなところまで、脚本と実際の映像とで見事にズレがない。

西武蔵野LCのロッカーに刻まれた問いがこちら側の現実と地続きに立ち上がってくる『ラストマイル』の終わり方は、しかし単に苦いだけではなく、2020年夏の雑踏に404機捜車が消えていった余韻ともよく似ていて。
現実の厳しさと向き合いつつも、決して冷笑に陥らず、この世界も人間もきっとまだ捨てたもんじゃないはずだ、そう信じたいと静かに願うような力強さに、やはりこの座組が好きだなあと改めて思いを深めたのでした。

 

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